土岐 帆隊員の日誌

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2008年4月14日

4月14日朝、大場氏と定時交信。グリス・フィヨルドより約27キロの地点にいる、との報告を受けた。 一昨日からスノーモービルを借りて地元の青年とエルズミア島の東岸までシロクマを捜しに行っていて、昨夜遅く村に戻ったところで、体の置くにずしりと疲労感が残っていた。 午後四時過ぎ、GPSに大場氏の昨晩のキャンプ地の緯度・経度を登録してからスノーモービルに再びまたがった。 いつものペースならば村から10数キロのところまで来ているだろうから、2〜30分走れば会えるだろう。

村からしばらくはスムースの氷が続いていて、スノーモービルは飛ぶように走った。気温は昨日より寒く、ほっぺたが少し痛んだ。途中、スキーのストックを使ってそりを引いた跡を見つける。 レゾリュートから飛行機でやってきたイギリス人の二人組みが歩いていると聞いていたので、彼らの足跡かもしれない。 サウス・ケープがそれほど遠くなくなったところにきても大場氏と出会うことはなかった。GPSで位置を確認すると、もう大場氏がキャンプしたところの近くにいた。彼のそりの後を捜していると、昨日まで同行してくれていたエリックが後から追いついてきた。 「彼とすれ違ったぞ。彼は村からほんの数キロのところだ。それから君のほっぺた凍傷になってる。」 

何もない海氷の上でいったいどうやって大場氏を見過ごすことができたのだろう。 あわてて向きを変え、エリックとともに村に向かってスノーモービルを駆る。 村のすぐ手前で大場氏がスキーセールを広げて滑っているところに追いついた。 大場氏がセールを下ろすの待って握手をした。


グリス・フィヨルドに近づく大場隊員

「今日中に村まで着くとは思わなかったのでキャンプで食べるようにフルーツを買ってきたんですが、凍っちゃったみたいですね。」  「スノーモービルの跡の上を歩いたらそりがよく滑るんで速かったよぉ。」40日間極寒の中を歩き続けてきた疲労感を感じさせない笑顔だった。


村長になったばかりのミーカの出迎えを受ける大場隊員

学校で先生もしているミーカが甥っ子のジョナサンと一緒に向かいに出てきてくれた。「グリス・フィヨルドにようこそ。村長のミーカです。」 つい最近選挙があったのは聞いていたがミーカが村長になったのは知らなかった。


ロッジの朝、ぼくが作った(焦がした)'マッシュルームとチーズのオムレツ'を食べる大場隊員

ロッジでは夕食を作ってくれる人はもう帰宅した後で、宿泊していた女性が冷蔵庫の中のものを見繕ってくれた。 大場氏は凍りかけたバナナ3本とりんごをたいらげ、食事をお代わりし、デザートをあっという間にたいらげた。
「旅の三分の一が終わりました。」
「明日は診療所に行って靴擦れの足を見てもらいましょう。」

土岐 帆

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