宮下典子隊員の日誌

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2008年3月11日

「のど歌」Throat Singing

夜中に音がして、階段下に下りてみた。
ポーリーヌと、アンナがいた。
二人は、さっきまでアンナの家で一緒に連続テレビドラマシリーズを見ていたのだという。どんな話?泣ける話?と聞くと、ちょっと切ない感じのストーリーという。アンナはいろんなことに興味がある、ジャーナリスト志望の17歳。

この二人が、真夜中に「のど歌」ライブを披露してくれた。二人の女性が向き合って、交互にのどを鳴らすようにしながら、口からではなく、のどの奥から息を吐き出す。高い音と低い音を交互に出しながら、リズムをつくりだしていく。二人の呼吸が合っていることがとても大切で、鳥のような、動物のような、生命の奥底から出てくるような音は迫力がある。ふだん、ヒップホップを聞きながら仕事をしている様子とは、まるでちがう感じだった。息を出すたびに、のどがふるえ、胸部が上下する。

二人は、リズムを合わせようとするけれど、なかなかうまくいかない。というのも、ポーリーヌとアンナはパートナー同士ではなく、実は二人とも別のパートナーがいるからだ。それぞれのパートナーとは、音の出し方からタイミングまですべて分かり合っているが、別の人と組むと、お互いのやり方がわからないから苦労する。100以上もあるのど歌をどう組み合わせるか、パートナー同士で練習しながら作り上げていくものらしい。その相手とは、一生を通しての、のど歌パートナーになることもあるそうだ。

二人のまねをし始めた私に、うまく歌うコツを教えてくれた。
「咽びこをまるめるようにして、肺から息を吐きだしてみて」
「モンスターのまねをするときみたいに」
「自分の中の怒りを、一気に吐き出すように」
なかなか難しいが、つづけていると、普段は使わない感情や、身体が目ざめてくるようで楽しい。肺を使うので、息が切れ、いい運動にもなる。
できの悪い私に、「私も、始めたばかりのときは、一つの音を習得するのには2週間くらいかかったから」といって、ポーリーヌなぐさめてくれた。アンナは4歳のときからのど歌を覚え始めたという。

去年の夏にキャンプに行ったときなどは、一晩中のど歌をして盛り上がったという。伝統的にも、テント生活の中での娯楽だったというのど歌。女性がするものだといわれるが、男性の中にも、できる人はいるらしい。

宮下 典子

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