2008年5月5日
こどもの日 → 大人がこどもに戻る日
ユーレカへの補給物資の手配も無事に終わり、レゾリュートでの暮らしにも、だんだんとリズムのようなものができてきた。ここには、世界中から研究者や調査員、パイロットやエンジニアなどが、入れ替わり立ち代りやってくる。そんな中でも、例えば機械が故障してしまい、修理のための部品が到着するまではただひたすら待つしかないメカニックやパイロットたちなどが、数日、あるいは数週間も手持ちぶさたで過ごしていたりする。
デビーはヘリコプターに乗って、カリブーやジャコウウシ、シロクマなど野生動物の個体数を調べる活動にたずさわっている女性。そのデビーの強烈なリーダーシップで、私たちはそり遊びに連れ出された。飛行場の近くの丘を、そりですべりおりる。この遊びをカナダではトバーゲニング(Tobogganing)という。本来は小型の木でできたそりを使うようだが、デビーはなんと、キッチンのオーブンからクッキングプレートを持ち出してきた。その四角いプレートに乗って、斜面をすべる。あるいはゴミ袋やダンボールですべる。大きなビニールを使って3,4人ですべるとスピードが増してスリル満点。もちろん、リフトはないからすべりおりる度に、また坂を息きらして登らないといけない。
雪だらけになって転げまわって、汗をかいて、笑いつかれるほど遊んだ。たまたまその日は、日本でいう子供の日。こどもの日には、子供たちの健やかな成長を願う意味がこめられているのだろうけれど、大人だって、健やかでいるためには、時々は子供のように、心と身体を全部使って思い切り遊ぶことが大切に違いないと感じた、レゾリュートでのタバーゲンニグだった。
宮下 典子