大場満郎隊員の日誌

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2008年5月27日

北極海

私は1997年に北極海を横断している。ロシア沿岸から、カナダのワードハント島までのおよそ1,730kmを歩いてきた。今年も二人のイギリス人の男女が、それぞれ極点を目指し出発したが、アクシデントがあり、断念したのである。北極海には似た海流があり、一つはロシア沿岸から極点近くを通り、グリーンランド東海岸に抜けるもの。二つ目は、アラスカ沖のボーフォート海を時計回りに回る海流である。

北極海は風と海流により、海氷は常に流れており、特に強い風が吹くと、割れ目で押し合いをして、割れたり、隆起したり、悲鳴をあげたりして動く。不安定な海氷である。最近は衛星写真で見るとおり、北極海の海氷は、すごい速さで減少していることが見て取れる。だから、極点に立ちたいと考えている人々も、以前より難しい状態になってきていると思う。

北極海は北半球の大気の流れを決める、重要でとてもデリケートな地域でもある。北極海から海氷が減少しているとすれば、その影響が今、現実的に地球の温暖化として現れているのだと考えている。

地球の温暖化は自然界のサイクルであるという人もおられるが、人間の活動が、大きく作用していることも分かってきているのである。私たち人間も、生活しているという立場で、もっと自然を見つめてみることが大切ではないかと思っている。北極海の旅を通して思ったことである。

氷河が作った平らな石

分厚く重い氷河の移動により、山々の岩や石はすりつぶされ、鏡のように平らになる。川原には無数にそのような小石がある。見事な工作であり、自然の偉大な力に恐れを抱かざるを得ない。エルズミア島北部の山々の形は、この氷河の運動により形成されたものであり、変幻自在、優れた芸術家も舌を巻くほどの、見事な、かつ神秘的な様相を見せている。

長い年月の末、山々から氷河は消え去り、現在残っている氷河も年々後退を続けている現実がある。私たちは川原の何気ない小石から、地球の成り立ちや、時代を超えた歴史的な時の流れを読み取ることが出来るのであり、なんと素晴らしいことではないだろうか。一つの小さい小石が感動を与えてくれる。

大場 満郎

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