荷物開封
時差のせいであろう、寝たり覚めたりの繰り返しで早朝には目が覚めてしまった。全員が同じ状況だったようである。
ところが、食堂に集合するはずの8時にはみんなまだ起き上がれず、9時近くになってようやく集合した。
朝食を終えると、今日の最大の仕事が待っていた。それは、日本通運の協力であらかじめ空輸しておいた38箱の開封である。
ガレージへ行くと、段ボール箱が高く積まれていた。広いガレージは、しっかり暖房がきいていて作業しやすかった。
我慢などできる寒さではない土地なので、寒さに対する基盤がしっかり出来上がっている。
早速、日本通運の皆さんと一緒に梱包して積み込んだ日を、追懐しながら開封作業に入った。
荷物をがっちりと守ってくれていた段ボール箱や緩衝材は、役目を終えて大量のゴミに変わってしまった。
北の果てで、人口が200人程度のレゾリュートで、ゴミの処理はどのようになっているのだろうか?
ゴミ箱を覗くと、プラスチック類・紙類・生ゴミ・アルミ缶など、全て混ざって捨ててあった。
ルーカスに聞くと、少し離れたところへ運んで全て燃やしてしまうそうだ。
今は雪だから見えないが、雪がとけたらゴミの残骸が散見されることだろう。
本来なら、大量のゴミを持ち込むエクスペディションは、そのゴミ処理にまで予算をつけて臨む必要があるだろう。
具体的には、ゴミ処理能力がある自治体まで運んで処理してもらうのが賢明である。
これらの荷物を日本から送り出すときに、ステパンとホヴァートはまだ日本へ来ていなかったので、
ここで一つ一つの荷物を見て安心したことだろう。
午後からは、パークス・カナダとの電話ミーティングを行なった。
入園料、緊急の際の対処法、非難小屋の位置など、英語が達者なホバートを中心にやり取りが行なわれた。
担当のデニスさんは、来月初旬にレゾリュートへきて話をしてくれることになった。
夕方、ルーカスは私をCO-OPや町役場に連れて行ってくれた。
小さなコミュニティーであるレゾリュートは、町の全員が顔見知りで、親戚関係や友人同士ばかりなのだろう。
ここでは、郵便業務、トラベラーズ・チェックからカナダ・ドルへの換金、裁縫なども行なっている。
CO-OPには、多くの人々が集まってきてにぎやかだった。
私たちが泊まっているホテルのカフェにも多くの人々が集まるが、何もない町の溜まり場になってしまうのだろう。
CO-OP内のレジ前で 左からホバート(ノルウェー)・小林・ステパン(ロシア)
小林丈一
|