2度目のフライト延期
気象関係機関に勤めるウェインは、私たちが泊まるホテルの会計責任者でもある。
彼は、毎日天気状況を教えに来てくれる。
朝「あさって(3月2日)は天気がいいから、フライト可能だよ!」と、部屋に入ってきた。
ウェブサイトの「Meteorological Service of Canada」http://www.weatheroffice.ec.gc.ca/ で衛星写真を見せてくれると、
「早速、航空会社に問い合わせよう!」と興奮気味だ。私たちも興奮した。
午後から、ウェイン、ルーカスと一緒に空港まで打ち合わせに行った。
しかし、パイロット側の反応がパッとしない。「海氷上に着陸するため、その起伏が見えないと着陸できない。
着陸地点の北緯83度付近は、26日に太陽が昇り始めたはかりで日照時間が短いので、確実に起伏を確認できるかが問題だ。」と言うのだ。
もちろん、パイロットにとっても我々にとっても、安全が最優先である。私たちは、フライト延期を決めた。
その後、私は飛行機の格納庫へ案内してもらった。機内の寸法を測っておきたかったのである。
フライト当日は、2mを超えるソリが3台とヨーレカへ置く補給品、そして我々4人が乗る。
救急用の装備も見せてくれた。食料にカンジキ、寝袋やライフルもある。
しかし、それらはパイロットの分しか積んでいないという。
フライト当日は、私の分の食料や寝袋を忘れないようにしなければならない。
万が一の時は、ただ寒さに耐えて救援を待つしかないからである。
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ウェイン(白人)は、100を超える冒険隊に気象情報を提供してきた。
とても明るい性格で、とてつもなく体が大きい。
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小林丈一
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