Kamiks・カミックス
朝9:50に遠征隊から電話があった。位置は北緯82度54分・西経70度54分で、進んだ距離は3.5km。
気温−40℃でかなり低かったが、快晴で風はないようだった。
遠征隊は、北極海からフィヨルドに入り南下を目指す予定だったが、
想像以上に進路上の傾斜がきつくてこれ以上は進めず、
とりあえず北極海まで戻りながら次のルートを考えるとのことだった。
今日は、イヌイット伝統のブーツ(カミックス)と手袋を紹介する。
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カナダ最北端の村 グリス・フィヨルドからきていたレイミーキー(Laymeekee)さん
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ここレゾリュート・ベイはグリス・フィヨルドの一つ南の村である。
つまり、北から2番目の村ということになる。
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この模様は、とくべつな地位や家紋をあらわすわけではなく、ただの模様
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このブーツは4重になっている。
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履いていく順番に、左下からアリクシク(Aliksik)・左上右上ともにピニギャク(Piniqgaq)・右下カミック(Kamik)。
そして、この4足を合わせてカミックス(Kamiks)
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英語では、ダッフル・ソックスという。
日本でいえば、フェルト地にあたるだろうか。
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上から内部を撮影
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2番目に履くのはリング・シールの皮
輪模様がついたアザラシのことである。
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上から撮影
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3番目に履くのもリング・シールの皮
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上から内部を撮影
皮の裁断デザインをよく見ていただきたい。
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3重に履くとこのようになる。
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最後に一番上に履くブーツ
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刻み模様がないソールは、踏み固められた雪の上だと滑りやすそうに見える。
逆に新雪の上は気持ちよく歩けそうだ。
古い時代、ソールに使う皮を噛んで柔らかくしたのは、女性の仕事だった。
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この地域で新雪の上を歩くと、まるで太鼓の皮の上に雪が積もり、
その上を歩いているかのように踏んだ雪の音がこだまする。
湿度が低く極度に低温のため、雪は非常に細かい粒子でサラサラしている。
あるいは、パサパサしているともいえる。
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毛皮と甲の黄色い皮の部分は、リング・シール
そこの部分は、大きなひげのあるビエディド・シール(bearded Seal)の皮
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日本では「ごまちゃん」こと「ごまあざらし」など、アザラシ科の動物はとても可愛らしいイメージがある。
しかし、北極地域ではアザラシの肉は貴重な食糧になり、皮は帽子・手袋・上下衣・ブーツなどに加工される。
村では、なんと凍ったアザラシがスノーモービルに引きずられているのを目にする。
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カミックスを上から撮影
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次はアザラシの毛皮で作ったミトン手袋
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5本指に分かれている手袋よりも、このような形の方が温かい。
それは、それぞれの指の温度が、4本一緒にまとまるからである。
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アザラシの毛皮を触ると、硬くトゲトゲしい感じである。 しかし、毛の一本一本の中は空洞になっており、そこにアザラシの体温が温存されるという。
ピンク色のものはフリース地で、二重になっている。 手首のところにシロクマの毛皮を縫いつけたものや、ひじ下までの長さのものもある。
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小林丈一
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