クヮクマクタリク
いつも朝に遠征隊から衛星電話が入るのに、今日は昼になっても入らなかった。
こちらからかけても、バッテリー節約のため、電源が切られている。
恐らく、連絡する余裕がなかったのだろう。夜まで待つことにした。
レゾリュート・ベイにあるクヮクマクタリク・スクール(詳しくは3月1日付日誌)の名前の由来は、シロクジラの骨で作ったテントの柱からきている。
そのテントは、貨幣がまだ流通せず、猟だけで生活をまかなっていた時代のものである。
この骨のまわりに、アザラシの皮を覆わせて人が住んでいた。
昔のイヌイットは、雪以外の季節だけテントに住んで、冬になると雪をブロック状に積んだイグルーに住んだ。
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木ではなく、シロクジラの骨である
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雪に埋まってしまって全体像をつかみにくいが、レゾリュート・ベイでは有名な場所だ。
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夜になっても遠征隊から連絡が入らなかったので、19:45に大場さんの衛星電話へ電話した。
偶然、大場さんが衛星電話を操作している時にかけたようで、無事に元気な声を聞くことができた。
しかし、ホヴァートの体調が悪いようだ。また、大場さんとホヴァードの手の指先が軽い凍傷にかかっているという。
今日の天気は、晴れで風はなく、気温は−36℃。
位置は北緯83度06分・西経71度59分で、ソリが重く(約100kg)6kmしか前進できなかったとのこと。
小林丈一
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