ケータイ電話事情
グリーンランドにはTele-Post Centerという、電話関連の業務(Telecommunications Office)と、
郵便局(Post Office)が合体した便利なところがある。
でも、ところによっては電話関連の業務(Telecommunications Office)と、
郵便局(Post Office)がくっ付いていないところもあり、ナルサスアックには郵便局はあるけれど、
そこでは電話関連の業務はほとんど行っていない。
グリーンランドで朝を迎える(ユースの窓から見た風景)。
今回、通信のために使う電話は3種類。
イリジウム衛星携帯電話は大場・長谷組と私が1台ずつ持ち、
KDDIのインマルサット衛星電話M4は大場・長谷組が持つ。イリジウムは、
屋外、つまり衛星が見える位置にいれば、世界中どこにいても使えるが、屋内では、基本的に使えない。
そのため、私は、グリーンランドの一般の携帯電話も持つことにした。
携帯電話のシステムも、ところ変われば違ってくる。
SIMカードという、薄い直径2センチほどの薄いカードをバッテリーの下にはめ込んで初めて使えるようになる(コペンハーゲンの空港で買った電話には、機械のみで、まだ使うことはできない)。
SIMカードごとに電話番号が入っていて、料金のチャージも、SIMカードと連動している。
ナルサスアックの郵便局では、そのSIMカードを手に入れることは出来なかったが、
あちこちに連絡していち早く電話を使えるようにする方策を探っていると、
ナルサックのTelecommunications Officeの職員ピーターが、
今日、夕方にナルサスアックに住んでいる姉に会いに行く用事があるから、
ついでにSIMカードを持っていってあげる、と言ってくれた。
5時半の待ち合わせ時間ぴったりに、ホテル・ナルサスアックのロビーに、ピーターがやってきた。
急いでやってきてくれたようで、息が荒れている。ナルサックからナルサスアックまで、
ボートで1時間かけてきてくれたのだ。だからなのか、ピーターからは、少し海の魚のにおいがした。
植村直己さんの碑、ホテル・ナルサスアックの中にある。
ケータイ電話の初期設定をすませ、文字表記と問い合わせの自動案内を英語に直してもらうと、
すぐに使えるようになった。料金の支払い方法は、プリペイド式になっているタイプで、
SIMカードに、100DKK(デンマーク・クローネ)の通話料金がついていた。
この100DKK(デンマーク・クローネ)を使い切ったら、また新しいプリペイド・カードを買い、
SIMカードにチャージしていくことができるという仕組みだ。
ピーターのおかげで、思いのほか早くケ−タイ電話を使い始めることができた。
ピーターは、友人が特別に手作りしてくれたという羊毛の帽子をかぶっていた。
私がほめると、「みんなから、お金を出すからゆずってくれ、と言われるんだけど、
大切なものだから、あげられないんだ。」と、ちょっと誇らしそうに笑った。
「何かわからないことがあったら、いつでも連絡して。
ナルサックに来たらTelecommunications Officeに寄ってね。」と親切に言い残して、ピーターは去っていった。
彼方にナルサスアックの海を望む。
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