2004年6月12日

INUULLUARIT KALAALLIT NUNAAT GREENLAND
さようなら カラーリ・ヌナート グリーンランド

カーナークにいたとき、5月に滞在したヌッソア半島の小さな村ニャーコンネで、 2頭のシロクマが仕留められたという知らせを聞いた。日々、次々と、いろいろなことが起こっている。 私が見たグリーンランドは、そのほんの断片にしか過ぎない。この国は今この瞬間も呼吸し、動き続けている。

この6月21日、グリーンランドはデンマークから自治を獲得して25周年を迎える。 首都ヌークではデンマーク女王と、新婚の皇太子夫妻を迎えて、華やかな催しが開かれる。 人々は、祝いの民族衣装に身を包み、各町や村では、それぞれの企画で、この記念日を盛り上げるそうだ。


自治25周年記念を特集する新聞の表紙。
咲き誇るピンク色の花は国花のNiviarsiaq(ニビヤシアック)

真っ白だった氷の国は、今は本当にたくさんの、色とりどりの鮮やかな色で彩られた。 思いがけないほど、豊かな旅だった。

グリーンランドは確かに冷たい氷に覆われているし、一年の大半は寒い冬に支配される。 けれど、その寒さの中で感じる、人々のぬくもりは計り知れない。 氷った海の上で感じる、人間の存在のあたたかさ。そこに人がいてくれることが、心をあたためてくれること。

「きっと、日本に帰ったら、グリーンランドにホームシックになると思う」 そういったら、グリーンランドで出会った友人達は嬉しそうに笑っていた。

グリーンランドを去る直前、新聞の写真メッセージ欄に、縦断が無事に成功したこと、 この成功はグリーンランドの人々の応援なしには決して成し遂げられなかったこと、 そして心からのありがとうと、さようなら(Inuulluarit:イニュールアリッツ)を書いて送っておいた。


グリーンランドから、南極へ、そしてまた北極圏へ、
自分の翼で地球を縦回りする鳥、「極アジサシ」

新聞やテレビで紹介されただけでなく、私自身、相当な数の人々に直接出会うことができたから、 56000人の住むグリーンランドで、私たちの旅は、ちょっとは有名になったらしい。 グリーンランドのことを伝えながら、この旅が 、同時にグリーンランドの人々が日本に興味をもつ一つのきっかけになったとしたらとても嬉しいし、 それもまた隊員の仕事なのかも知れない。

ホームページで、これからの旅を追いかけ続けるといってくれた人たちもいた。 こんなふうに、一人ずつ、一歩ずつ、世界がつながっていけばいいと思う。 地球縦回り一周の旅は、まだ始まったばかりだ。縦回りの次の隊員に、日記のバトンを託します。

今まで、一緒に日記を通して、グリーンランドの旅につき合って頂いて、 本当にありがとうございました。qujanna(ありがとう)。 Inuulluarit(長い別れの時に使うさようなら)。

    


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